つくるひと―そのくらし
つくるひと―そのくらし
赤澤かおり
メディアファクトリー
このブックレビューコーナーで前回ご紹介した『くらしのなかの日用品』がシリーズものだとすれば、その前編にあたるのが、今回ご紹介する『つくるひと-そのくらし』。“もの”に焦点を当てた『くらしのなかの日用品』に比べ、『つくるひと-そのくらし』は、“くらし”に焦点を当てている。この“つくるひと”というのは、本をつくる人という意味で、本の著者である、料理家やインテリアスタイリストなどの暮しぶりを紹介したものとなっている。
本で紹介されるほどの著名な方たちなので、お忙しい方ばかりのはずなのに、その暮しにはゆとりが感じられるのはなぜだろう。その答えは案外簡単に見つかった。自分の好きなものや好きなことを知っているから。好きなものに囲まれ、好きなことをやって暮しているから。何かをやらなければいけないではなく、心から楽しんで物事をこなしている。と考えると、ゆとりのある暮しというのはシンプルなことで実現できるんだなと思う。
“シンプル”という言葉で思い出すのは、かわしまよう子さん。『しんぷるらいふ』という本を出版しているから、=(イコール)シンプルに暮している人、と結びついてしまうのだが、この本に登場する23人の一人で、花や自然にまつわる仕事をしている彼女の項の一文に、「ときには、枯らしてしまったりしてもそれはそれで仕方ないこと。」というのがある。そして、「土に還るのが自然なことだから、枯らしてしまったことを拒絶しないで、また育てようと思ってほしい。」と。
これまたシンプルなものの考え方。ありのままというか、なすがままというか、流れに身を任せていればいいんだと、なにげないこの一文は、そんなことに気付かせてくれる。
なんだか最近忙しくて…。暮しにゆとりが欲しい…。そう思った時、この本のどこかに、誰かのなにげない一文に、小さなヒントを見つけるのかもしれない。




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