世界でたったひとつのわが家
世界でたったひとつのわが家
大平一枝
講談社
コーポラティブハウスをご存知でしょうか。入居者同士が共同で土地を購入し、自由設計でマンションを建てることを言うそうで、著者の大平一枝さんは、コーポラティブハウスで我が家を手にした。その、コーポラティブハウスの建設奮闘記については、大平一枝さんが、2000年に出版した“自分たちでマンションを建ててみた。―下北沢コーポラティブハウス物語”に書いており、その後、実際に住んでみてどうなの?を中心に書いているのが、“世界でたったひとつのわが家”である。
住んでみてわかる“不便なこと”は、大平一枝さんのように家を建てなくとも、賃貸マンションの我が家であっても思い当たる。「水道の蛇口が長すぎて食器が洗いづらい」や「電話回線の場所がなんでここなの?」という具合に。しかし、案外その程度なのである。賃貸だから仕方がない、とどこかで思っているのだろう。
一方、自由設計によって、自分の好きなように家を建てた大平さんのお宅。いくら自由設計といっても、事前に、実際の生活を事細かにシュミレーションできるはずはなく、やはり、”困った”は出てくるものである。そんな、”困った”にも、”傘の置き場所”のような小さなことから、”床暖房の悲劇”ような大きなことまであり、どれも面白おかしく書かれているので、なかなか読む手を止められない。
大平一枝さんの飾らない人柄がにじみ出ている文章は、知人の世間話を聞いているような気になってしまう。面白い暮らしのエッセイでありながら、とても役に立つのが、この本の大きな魅力であり、そんな役に立つ話の中でも、“最高の引越し祝い”の項は、「へぇ~」と唸ってしまった。さぁて、最高の引越し祝いとは、読んでみてのお楽しみということで。
この本があるおかげで、まだ家を建てていない私たちは、大平さんと同じ失敗をしないですむ。どこにお金をかけて、何をケチればいいのかを、ほんの少しだが勉強させてもらった。ありがたい本だ。




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